ラルクド物語スピンオフ 零の物語

4人用
ラルクド物語スピンオフ「零の物語」
作者 : 猫One~
イーファン
シャン・イー・ファン
男女不問
「悲しみ・強さ・優しさ」
あなたが描くイーファンを!
モブBを兼ねます。
エマ
エマ・フォルス
女性
「脆く・厳しく・優しく」
あなたが描くエマを!
モブAを兼ねます。
キリト
キリト・大西
男性
「芯の強さ・不器用さ・気高さ」
あなたが描くキリトを!
モブCを兼ねます。
先生
ブーチン
男性
「自裁・苦悶・願う思い」
あなたが描くブーチン先生を!
モブD・エマ父(手紙)を兼ねます。
【プロローグ】
【僕の居場所】
【キリトとエマ】
【先生とエマ】
【キリトとイーファン】
【先生とキリト】
【一変】
【異常事態】
【生きるという意味】
【プロローグ】
イーファン
僕が生まれたその日、母は死んだ。
「僕の命と引き換えに母は死んだのだ」と。
父はその手に一度も僕を抱くことはなかった。
それを理解する事よりも早く。
「魔の血を受け継ぐ者が集まる寄宿舎」という場所へ預けられ、それ以来一度も父とは会っていない。
「魔の血を受け継ぎし者」
それが何を指し記すのか、生活をしていく中で、自ずと理解は出来た。
ここは「魔の血」を持つものだけが入ることが出来る、特殊魔族育成所。
人とは異なる種族と、すぐにわかる者が多く存在する。
だが人との見分けも付かない種族が存在することも、ここの生活が長くなるにつれて理解をしていった。
「言葉」
誰かと話す事が苦手で言葉数が少なかった僕に、ブーチン先生が「血の種族系統」を汲んでくれながら、僕の未来の為にと言語をたくさん教え与えてくれた。
僕にとって先生は、親と言っても過言ではない存在になった。
・・・僕の居場所
先生
「イーファン。
今日も武術の鍛錬に余念がないな、いい子だ!」
イーファン
「あ、ブーチン先生!
僕ね…色々試してみたんだけど、やっぱり三節棍が一番楽しい!
双頭槍そうとうやりや双剣も嫌いじゃないんだけど、三節棍がしっくりくるんだ!」
先生
「イーファンは身体の使い方が綺麗だし、体軸テイジュウがまるで鞭の様にしなる。
だから衝撃を増強し、力を開放させる三節棍が体感にハマるんだろうね!」
イーファン
「先生、質問なんですが…。
どうして自分が扱う武具を、こんなに早く決めちゃう必要があるんですか?」
先生
「そうだなぁ、例えばなんだけど。
魔の力を持つものは稀に、一定の能力以上の魔力を扱える者が現れたりする。
能力が解放された時。
自分の扱う武器が決まってないまま、後でどこに力を割り振るかを考えて鍛錬していては、上限がそこから伸び悩む。
解放上限にリミッターが掛からない様、
早い段階で適性の武器を高度に扱い。
力が解放された際に、手馴れた武器へ解放した力を宿して戦えるようになる為なんだ。」
イーファン
「…じゃあ、魔の力を持つものは何故。
「戦う」事を強いられるんですか…?」
先生
「ははは…イーファンは鋭いところを突いてくるね…。
実際、魔の力を持つもの全てが、戦いに秀でている訳ではないよね?
種族の中に元々魔族というものが、太古に存在した。
この事は魔の種族分類史として、授業で習ったはず。」
イーファン
「はい!
長い歴史の中、魔族は人との関りを持つようになり、魔と人の間に生命が宿る事が実証される事となった。
そして生まれたハーフ達の能力は、人の血と魔の血のどちらかが、表へ強く出るようになった。
それを繰り返す中で、魔族は純正族よりハーフの血筋の方が増えたって習いました!」
先生
「そうだイーファン、良く学習できているね!
だが純血種の魔族達は、その長い時の中で人を嫌う事となり、交わることを自ら拒んだ。
吸血族バルスパイヤや魚人族マーメンは特に人族じんぞくを嫌い、姿を表には見せなくなった純血種達だ。」
イーファン
「なら、それとは逆で。
人と交わることで、共存できるようになったのが「魔の力を受け継ぐ者」って事なんだ!」
先生
「そういう事だね。
その為、人の血が強く出た者は、ハーフと言えども魔の力を扱うことは出来ない。
逆に魔の血が強く出た者は、その力を持て余す事も少なくないんだ。
デモニックヒューマンハイブリッドと言われても、力の出力が違えば…、在り方が大きく変わってしまう。」
イーファン
「僕は魔の血を強く受け継いでるかな…?」
先生
「どうしてそう思うんだい?」
イーファン
「もし、人の血の方が強かったら…。
僕はきっと誰からも必要とされないモノになっちゃうんでしょ⁈
そんなの…僕は怖い。
いらない物にもう…なりたくないよ…」
先生
「イーファン。
君は人の気持ちがとても理解できる子だ。
だからこそ、小さな子供達からも兄として慕われているだろう?
それなのに自分が必要ない存在だと、思うのかい?」
イーファン
「でもいつかは。
ここに居られなくなる日が来るでしょう?」
先生
「ここを巣立っていく日は、必ず来るだろうね。
魔の力を持つものと人が、共存しながら生きる事を選んだ者。
ハーフ達だけが集まり、寄り添い生きる街。
そして純血種の様に、表舞台に出てこない者達。
「生きる事」というのは人であろうが、魔の者でも同じことなんだよ。
だからこそ、魔の力が決して特別な訳ではないんだけどね。
その力を持たない種族からすれば、驚異的に見えてしまうのは事実だろうけど。」
イーファン
「人よりも身体的に優れる部分を例えれば、寿命の違い…かなぁ」
先生
「そうだね、明らかに人よりは治癒力も高いし、その分寿命も長くなる訳だけど。
それが万事、幸せな事とは限らない…のにね。」
イーファン
「…先生どうしたの?
今とても悲しい目を…してる。」
先生
「そうだった…イーファンは思いの波動を強く感じ取れる子だからね。
だからこそ君は、必ず誰かを守れる強さを備え、立派に魔を受け継ぎし者へと成長していく筈だ。
だから過去を恐れず、しっかり前へ歩むんだよ、わかったかい?」
イーファン
「…うん、そうだね…僕、頑張るよ!
ブーチン先生、感謝ガンシェ!大好き《ダーハオ》!」
【キリトとエマ】
キリト
「また本と睨めっこか?」
エマ
「…ほっといてよ。
私が何をして過ごしていようと、関係ないでしょう?」
キリト
「…まぁ、そりゃそうだ。
で、エマは魔力武具の最終認定試験は、鞭で受けるのか?」
エマ
「まだ決めてないわ。
最終的に鞭か銃か悩んでるから。」
キリト
「なるほど。
器用だというのも、また悩みの種だな。」
エマ
「…どうせキリトは槍の一択なんでしょう?」
キリト
「あぁ。
俺はグラスフォルターム以外は、考えたことはないからな」
エマ
「あなたは…いつだって迷いがなくて、いいわよね…」
キリト
「…どう言う意味だ?」
エマ
「別に言葉のままよ。
実技において魔力と魔具の融合性。

キリトはずば抜けた能力を保持してると、ブーチン先生が褒めていたから」
キリト
「だが知力においては、エマは研究結果は全て最高クラスだろう?
その点俺は、考えるより直感的実践方式だからな。」
エマ
「…実践型ね、羨ましい事だわ。」
キリト
「…へぇ?
お前でも人を羨ましいと思うことがあるとは、意外だ。」
エマ
「っ!…キリト。
あなたもう少し、言葉選びは慎重にした方がいいわ?」
キリト
「悪いな、考えるのは苦手なんだよ」
エマ
「はいはい。
ところでブーチン先生が、とても有望な子が入ってきたって話してたけど…」
キリト
「シャン・イー・ファン、って奴だろ?」
エマ
「キリトが名前を知ってるぐらいなら、相当な能力を秘めてる子みたいね」
キリト
「いや、秘めてるかどうかは知らない」
エマ
「…それ、どういう事?」
キリト
「たまたま裏の雑木林で、フォルタームの呼び寄せ練習をしてたら」
エマ
「…うん」
キリト
「一人グズグズ泣いてる奴に遭遇した。
そいつがイーファンだったって話」
エマ
「なに…、それ」
キリト
「ここに来る奴は皆それぞれ、能力や生い立ちまた然り、ってことなだろう」
エマ
「…キリトあなた。
自分では、気付いてないの?」
キリト
「…何をだ?」
エマ
「いや…別にいい。
私、ブーチン先生にこの本の続きがあるか聞きに行くから、この辺で失礼するわ。
最終武具決めたら、その時また手合わせ願える?」
キリト
「了解、じゃあな。」
エマ
「キリトが自ら誰かに興味を示す事なんて、今まで無かったのに。
それすら気付いてないのね…。
シャン・イー・ファン、また私を脅かす存在になり得る子なのかしら…」
【先生とエマ】
エマ
「…ブーチン先生」
先生
「おぉエマ!
どうかしたのかい?」
エマ
「この本の話の続きは、この書庫にありますか?」
先生
「あぁ、この本か…。
続きは確か今、イーファンが読んでるはずだ。
返却されたら、君に知らせるよ」
エマ
「…え?
この本…私でも難しいと感じる詩歴史なのに…?
イーファンは、理解出来るんですか?」
先生
「うむ?
エマはイーファンを知ってるのかい?」
エマ
「いいえ。
私はまだお会いした事はありませんが、お名前だけは。」
先生
「そうか…、そうだエマ。
君達は言語解読や知識的見解解読、そういったものにとても長けている子達だ。
だから話せばお互いに、とても気が合うんじゃないかと思うんだけど…」
エマ
「先生。
そういう事を勝手に思い願われても、期待に添えない事もあります。
ですので軽はずみな言動は、謹んでいただきたいです」
先生
「ははは…。
エマは手厳しいなぁ(笑)
君はとても才女だが、頑張りすぎる傾向があるからね。
もう少し気軽に話せる友人が増えるのは、素敵なことだと思っているんだけど?」
エマ
「誰かを頼る行動は、己の未熟さ故に起きる転換行動。
父にそう言われ育ってきた私は、律しながら自己解決出来る自分で在るように過ごして来ました。
…それが今の私を築いている。
自身が男として生まれていたならば…、私はどれだけ救われた事でしょうか。」
先生
「エマ…。
男である事、女である事、自己の性別すら超えて理解しあえる者と出会う事が、この世界には点在すると私は思っているんだ。
自分に課すことが悪いとは思わない。
けれど…変えられない事柄そのものを、苦しんではならない。
ありのままの自分自身を受け止め、認め、その上で己を高めていけばいい。
私は、エマがエマで有る事が素晴らしいのだと思うんだ。」
エマ
「…先生にはわからないわ!
男児を期待され生まれたのが、私という存在だった苦渋なんて!
努力をどれだけ重ねても…女の子だから…、男の子だったらと…言われながら生きる者の苦しさを…。
望まれるものを持ち得なかった者の、居場所の無さを…。
頑張りも努力さえも敵わない、覆す事が出来ない身体の能力差は…私と言う存在を天井から嘲笑うのよ…?
だから…私は。
自身そのものを認めさせる為に、絶対的な力を手に入れてみせる!
そのための努力なら、身を削ろうが、惜しむ気はないの!」
先生
「…そうか。
エマは…周りの期待に答える為、頑なに自分を追い求めて生きてきたんだね。
だからこそこんなにも、君は優しくて頑張り屋なんだな。」
エマ
「…違います!
私は…優しくなんてない!」
先生
「そうかな?
与えられた性別はエマのせいではないだろう?
自己で選べるものではないのだから。
でもそれすら自分に課し、覆す努力をしている。
さがの壁を恨むことではなく挑み続ける事で、目前の闇を打ち払いながらここに立っている。
誰かの所為ではなく、自身で受け止める君は優しい人、そのものだよ?」
【そう言ってエマの頭を撫でるブーチン】
エマ
「優しいのは…、きっと先生の方です…」
先生
「私かい?
残念だけど…私は優しいのではない。
ただの臆病者な・・・だけだよ。」
エマ
「臆病?」
先生
「そう。
私は自分の心から目を背け…自分の立ち位置を見失った。
だからこそ私は思うんだ。
君が越えようとするその壁は、普通は超える事さえ不可能と言われるもの。
ても「魔の血を受け継ぎしもの達」も、出会いや想う事で、自分だけでは知り得なかった力を手にする事が有るんだと。
だから優しい芯を心底に持つ君が。
見聞を広げこの世界を見渡した時、真の優しさが花開き、本来の君そのものが開放される日が来るんだと私は信じている。
そしてそこで…満面な君の笑顔と言う花が咲くんだろう。」
エマ
「…ブーチン先生。
私は誰にも負けたくないんです!
誰かに頼る事は、自分の惨めさを増長させるだけだと今の私は感じています。
そんな私が…花を咲かせる日は来るのでしょうか?」
先生
「焦る必要はないさ、エマ。
たくさんの遠回りをしながら、誰しもが生きていく。
自分の中に芽生える多くの疑問も、その先に立つ君の大切な糧となるだろう。
信じる道を歩む中で、心響く声が聞こえた時は、向き合うことを忘れないで欲しい。
目を背けるのではなく、手を伸ばして共鳴すれば良いのだから。」
エマ
「…先生の言葉は、真っ直ぐ降り注ぐ暖かな木漏れ日みたい、ですね…」
先生
「はは、そうかい?
君達を照らす光が、無数に重なって心に差し込む時。
エマ、きっと君は生きるという本当の意味を知るんだろう。
だからこそ今は真っ直ぐ、自分らしく生きなさい。」
エマ
「今の私は、己の信念を貫き生きる。
それでいいと…先生は思いますか?」
先生
「ああ…素晴らしいと思うよ?
そして貫く先に見える答えがまた、この先の道を照らしてくれるんだからね。」
エマ
「…はい。
私は私を生き抜こうと…思います!」
先生
「ああ、応援しているよ、エマ!
但し、笑顔は大切だと思うけどね?」
エマ
「それは…私らしいとは思えない…けれど…
作り笑いではなく、いつか自然に笑えれるようになれる…かな…」
先生
(目を細め、エマの頭を撫でる)
「あぁ、なれるさ」
エマ
「…はい、自分を誇れるように…頑張ります!」
【キリトとイーファン】
キリト
「…お前、熱心だな」
イーファン
「・・あ、キリトさん!」
キリト
「今日は泣きっ面じゃないんだな?」
イーファン
「…意地悪なんですね、キリトさんって」
キリト
「ははっ、そうか?
普通だと思っていたが」
イーファン
「はぁ…、もういいですよ。
ところでキリトさんも、ここで魔具の鍛錬ですか?」
キリト
「おいおい。
元々この場所、オレの方が先に鍛錬場として利用していたんだが?」
イーファン
「…へぇ。
これだけの広さがあるのに、オレの方が先とか…。
キリトさんて結構子供っぽい人なんですね?」
キリト
「…お前、結構気が強いんだな…
印象、ガラッと変わったよ。」
イーファン
「そうですか?
僕は相手から感じる世界線に、同じ目線でしか返答出来ないだけですけどね?」
キリト
「これはなかなか…。
面白い事をサラリと言ってのける。」
イーファン
「そう聞こえますか?
じゃあこれがキリトさんの普通、って事ですかね?」
キリト
「…ぷっ…あははははは!」
イーファン
「そんなに笑い出すほど、僕は面白い事言いました?」
キリト
「いやぁ…マジ。
同じ目線からの言葉の反芻はんすう、俊敏性から瞬時に切り返す機転ねぇ…。
お前、気に入ったよ」
イーファン
「褒めてるつもりなんですか、それ…」
キリト
「勿論、そのつもりだが?」
イーファン
「なる程…じゃあ受け取っておきます。
ところでキリトさん、今、暇なんでしょ?」
キリト
「はぁ?…あはははは!
最高だよ、イー!
そこまで真正面から踏み込んでくるやつは久しぶりだ。
確かに暇だからな…相手してやるよ!」
イーファン
「ええ、お願いします!」
キリト
「…グラスフォルターム。
我が手に来い‼︎」
イーファン
「三節棍よ…僕の力をキミに注ぐ!
ではキリトさん、行きますよ!」
キリト
「あぁ!
かかってこい!」
イーファン
「うおぉぉぉぉぉ!」
キリト
「踏み込みは悪くない…が。
お前、迷いがありすぎだ!」
イーファン
「くっ‼︎
三節棍の遠心の打撃を…こんなに簡単に槍ではじかれるなんて…!」
キリト
「ほらほらどうした?
立ち尽くしたままで…掛かってこないのか?」
イーファン
「煽りに乗ってはダメだ…。
三節棍を最大限に生かせれる動きを、瞬時に導かないと…!
考えろ…この場合は…」
キリト
「やれやれ…来ないなら、こちらから行くぞ!
グラスフォルターム、水を纏い目前を打ち抜け!」
イーファン
「うわっ‼︎
ちょ、キリトさん、危ないじゃないですか!」
キリト
「稽古でも手を抜くつもりはないからな。
俊敏性だけで交わすのも、時間の問題だな?」
イーファン
「うわぁ!
本気で狙ってる!
大人気おとなげない人ですね…!」
キリト
「大人のつもりはないからな。
さぁどうする、イーファン?」
イーファン
「じゃあ…遠慮なく…その水の力を利用させてもらいますよっと!」
キリト
「はぁっ⁉︎
水の表面摩擦を利用し、動きを加速させるだと?
くっ、フォルターム!
回転しながら棍の三点軸を捉え、弾け!」
イーファン
「くそぉ!
槍が独自に攻撃の軌道を読み、こんなにもたやすく三節棍の打撃を弾くなんて!
…ねぇ、キリトさんズルくないですか⁉︎」
キリト
「はは、そんな簡単に俺とグラスフォルタームの間合いに、入れるわけないだろう?
俺とフォルタームは、魔力の疎通で連携を取りながら戦っている。
まさに俺の手足と同じ感覚と言っても過言ではない。
たが今の手合わせで、お前が戦闘に対して素晴らしいセンスを持っている事はわかった。
久々に予測超える詰め方をされたな。」
イーファン
「でも僕は…その槍から放たれた水を避けきれなかったから…
水がもし衝撃波だったなら、僕は大ダメージを受けていた…。
……うわぁぁぁあ…悔しい‼︎」
キリト
「だがイー、今のお前なら、目測予測を超える動きをしてくる者も居ないだろう?
このままだと、お前の伸び代はここ止まりだな…。
お前、明日もこの時間にここに来い、わかったな?」
イーファン
「え、ちょっとキリトさん⁈
何カッコよく去ろうとしてるんですか?
ま、まさかこのまま手合わせ終わりとか…?」
キリト
「強くなれ、イーファン。
自分の存在の為に」
イーファン
なんだか…キリトさんって…
まぁ明日また手合わせすれば…もっと彼の事分かるかも知れない。
…くっそぉ…三節棍、さらに練習だ!」
【先生とキリト】
先生
「あぁキリト!
丁度良かった、話したいことがあって。」
キリト
「ブーチン先生、どうかしましたか?」
先生
「イーファンの基礎数値がここにきて飛躍的な成長を見せてね?
どうしたのかと聞いてみたら、君の名前が出たんだ。
君が稽古を付けてくれていると、嬉しそうに話してくれた。」
キリト
「イーは瞬時にいろんなことを吸収し、応用からさらに変化を付ける事が出来るタイプだ。
だから俺にとっても、良い訓練相手になってくれてますよ。」
先生
「そうかそうなんだね!
キリトが自ら積極的に関りを持つのは珍しい思って、どういった経緯からこうなったのか聞いてみようと思ったんだ!」
キリト
「俺は、優れている者に対しては敬意を払います。
洞察力や直感性は、自分を高める為にも必要なことです。
その上で俺にとってイーファンは、感性的にも興味深さがある。」
先生
「なる程…。
キリトは自ら誰かに関わる事は率先して行う方ではないから。
もしかしたら、イーファンとは気が合うのかなと思ってね?
だとしたらとても嬉しく思ったんだ!」
キリト
「ブーチン先生は、イーを随分と可愛がられてますよね?
何か特別な間柄だったりされるのですか?」
先生
「そういう訳ではないんだけど。
私がここで初めて担当する班の中に、イーファンは居たんだ。
ここに入寮してくる子達は、魔の力が突起してる子たちが多い分。
私生活ではいろんな事情を、背負っている子が多いよね?
彼は入所当初…全く言葉を話す事が出来なかった。
孤独を感じる事が多いこの世界で、心分かち合える友が得れたのは、彼にとって素晴らしい事だと思って。」
キリト
「…すみません。
俺は…友と言う存在を作り、馴れ合いをしたい訳ではないので…」
先生
「もちろん、分かっているさ。
でも友というものが、馴れ合いではなく、信頼と呼べる間柄に昇華されたら?」
キリト
「信頼…?」
先生
「その時はキリトが持つグラスフォルタームと同様、君が背中を預けられる存在になるんじゃないかな?
信頼を置く…お互いがそんな存在になってくれたら私は嬉しいと思ってね。」
キリト
「…何故、先生は他人にそこまでの肩入れが出来るんですか?」
先生
「何故か、かぁ…。
私自身が信頼する存在に、幾度も助けられたからかもしれない。
キリトは、イーファン生い立ちを聞いたことがあるのかい?」
キリト
「…噂では少し。
でもあまりそういう部分は、興味はないので」
先生
「そうか…ははは!
キリトは本当に芯が真っすぐだね!
自分自ら信ずるに値するものを追い求め、その身で感じる物を大切にしている。
周りに流されず、自分から見る世界を見据えている君の生き方は、私でも感服させられる瞬間があるよ。
でもね、キリト。
必要とされる喜び、されない悲しみ、重圧や、しがらみに心が縛られていても、表には出せずに生きている者は存在する。
隠された感情、行動、其々が抱えるものを理解し、一緒に打開しながら超えた先に。
自分が生きる世界が一人ではなく、沢山の者が互いを認めるからこそ成り立ち、それが真の誇りになって行くんだと思うんだ。
だからさ、キリト。
君には守りたいものを、ちゃんとその手で守れる子になって欲しいし、イーファンには自分が生きる故の誇りを見つけて欲しいって、願っている。」
キリト
「守りたいものを…守れる者、ですか?」
先生
「そう。
私が口出すのはお門違いを承知で…、イーファンにいろんなことを教えてやってくれないか?
その繋がりが確信へと変わる時、君自身を更に大きくしてくれると私は思っている。
私からのお節介として、少し心に留めておいてくれれば幸いだよ。
呼び止めてすまなかったね!」
キリト
「…いえ。
俺自身もイーとの訓練は、自分の為になっていると思ってますから。
その、上手くは言えませんが…まぁ、何となく先生の言葉は留めては置きます。」
先生
「うんうん、ありがとうキリト!
ここ最近の二人は、ずば抜けたセンスをみせているからね!
キリトは魔団への入隊希望だろう?
久々に魔団へ選出される者が、現れるかもしれないと思うととても楽しみだよ!」
キリト
「ありがとうございます。
日々の積み重ねを精進します。
では、失礼します。」
【一変】
イーファン
過ぎ去る日々はとても穏やかで…
皆それぞれが、思い抱えるものを内に秘めながら、自己の生き方を求めて彷徨う
見つめる未来は、変わることなく、今が繋がるものだと信じて疑いもしなかった…
一変という言葉は…正に…見ていた世界全てを打ち壊し、消し去るという事なんだと…
僕は…
この日を幾度と思い返しては…自己の無力さを痛感するんだ…
エマ
「…そんなに走ると転ぶわよ、イーファン」
イーファン
「…キリト…キリトってうわぁぁぁぁあ!」
エマ
「…ほら。言った通りね」
イーファン
「あいたたた…ってそうじゃなくて!
やったよ、やったんだ!
僕も魔団へ入ることが許されたんだよ、キリトォーー‼︎」
キリト
「何言ってるんだ、イーファン。
それぐらい当たり前だろ…
今やお前は、この俺と渡り合える程の実力者なんだからな。」
イーファン
「うわぁ…相変わらずのつっけんどんで、更に自己肯定感の塊じゃん…。
もっとこの事実を一緒に喜んでくれてもいいと思うんだけど!
頑張った甲斐があったな、とか‼︎」
キリト
「…おいおい、それはブーチン先生の役割だろ?
俺とイーは、ライバル関係でもあるわけだからな」
イーファン
「え、何…今キリトなんて⁉︎
ライバル…、僕がキリトのライバルって言った⁉︎」
キリト
「あぁそうだろ?
俺にとってお前は、ライバルに値するつもりだったんだが。
なんだ、不満なのか?」
イーファン
「違うよ!
まさかそんな…。
キリトが僕を対等に見てくれてたなんて…
嬉しい…嬉しいなぁキリト!
最高の誉め言葉だ‼︎」
(キリトに抱きつくイーファン)
キリト
「ーーーうわっ!
ばっかやろう、いきなり抱きつくな!
危ないだろう‼︎」
イーファン
「いいじゃん、良いじゃん!
嬉しい時に全力で伝える事は大事な事だよ!
キリトはさぁ…自分にも、他人にも厳しいし?
おまけに、あんまり無駄話とかもしないし?
でもさ…どんなキリトでも、僕にとっては憧れなんだ!
守ると決めた時の強さは、ホントにヒーローみたいでカッコいい!」
キリト
「…やめろよ!」
エマ
「え、なに?
キリトでも照れる事があるのかしら?」
イーファン
「あ、エマさんもおめでとうございます!」
キリト
「お前も無事入団決まったみたいで、これからも腐れ縁だな。」
エマ
「腐れ縁とか…本当に言葉のセレクト…最低ね…
それにもっと、嬉しそうな顔して言いなさい。
キリトの感情、伝わりにくいのよ!」
キリト
「いや、お前は卒なくこなす奴だって知ってるしな。」
エマ
「…本当に…無神経なワードセンス直した方がいいわよ?
改めて、イーファン、キリト、選出おめでとう。
今季の試験で選出入隊が許されたのは、私達三名だけだったみたいね。」
キリト
「まぁ…簡単に選ばれるような場所ではないからな。
その上でエマもイーファンも周りの者以上の努力をしていたのは事実だから、心配はしていなかった。」
イーファン
「僕の場合は正直。
キリトとの鍛錬があったからこそだと思ってる。
だから、選ばれたことが素直に嬉しいよ!
だからこそこの先、キリトの足手纏いにはなりたくないんだ…。」
エマ
「あら、キリト。
今やすっかり保護者的立ち位置じゃない。」
イーファン
「エマさん、違います!
僕にとって保護者的な存在はブーチン先生で、キリトはその…僕にとって…」
エマ
(被せながら)
「冗談よ、イーファン…ふふ。
でも正直、私はあなたがここまで食らいついてくるとは思っていなかったわ!
あなたの頑張りがキリトの気持ちを動かしたんだと思っているし、それは私も認めざるを得ない。
あなたの努力が今を勝ち取ったのたから、もっと自分に自信を持っていいと思うわ?」
キリト
「エマなんていつも余裕がなくて、ピリピリしてるから…眉間にいつもシワが…」
エマ
「キリト!」
キリト
「はははっ冗談だよ」
エマ
「…キリトが冗談⁉︎
まぁ、いい傾向なのかもしれないわね。」
イーファン
「本当にいいコンビですよね、キリトとエマさんは、えへへへ‼︎」
エマ
(モブA)
「緊急事態発生!避難警告発令!
館内の者は速やかに退去し、避難をしてください!
繰り返します!
館内の者は速やかに避難退去してください!」
イーファン
「え、なに⁈なにがあったんだろ⁉︎」
キリト
「わからない!
とにかく速やかに表に出るぞ!」
エマ
「そうね、とにかく急ぎましょう!」
【館内から出て驚愕する三人】
エマ
「…なっ、なんなの…これは…」
イーファン
「でかい火の塊…隕石みたいなものが…空から近づいてきて…る⁈」
キリト
「間違いない、隕石…だ!
まずい、こっちに向かって来ている!
イーファン、みんなを出来るだけ森の奥へ避難させるんだ!」
イーファン
「わかったよ!」
エマ
「確か洞窟になってる場所が森の奥にあったわね!
迅速に誘導しなくては!」
キリト
「落ちれば、これは物凄い衝撃波が襲うはずだ!
エマ、みんなの避難を率先して指示してくれ!」
エマ
「了解よ!
でもキリトはどうするつもりなの⁈」
キリト
「俺は館内の逃げ遅れたものがいないか確認してから、合流する!」
エマ
「…キリト、お願いだから無茶だけはしないで!」
キリト
「大丈夫だ!
直感が外れた事はないからな!」
エマ
「あなたが合流出来るのを待ってるから!
…じゃあ後で!」
先生
(走りながら)
「・・・キリト‼︎」
キリト
「ブーチン先生、会えて良かった!
館内は無事みんな退去できたみたいです!」
先生
「あぁ!
率先して誘導してくれたみたいだな、キリトありがとう!
私達も急いで避難した方がいい、さぁいこうか‼︎」
キリト
「はい!」
【表に向かって走り出す二人】
先生
「まずい、もう其処まで…隕石が衝突する!
キリト爆風が来るぞ‼︎」
キリト
「うわぁぁぁぁぁぁぁああ」
先生
「キリトーーーーーっ!」
キリト
「ーーーぐはっ!」
先生
「しっかりしろキリト!」
キリト
「…俺は平気です…先生…先を急ぎましょう…」
先生
「この建物の奥の森へ急ごう!
足の方は大丈夫か⁉︎」
キリト
「…大丈夫です。
なんなんだ…一体…これは…
衝撃と爆風が…世界を…飲み込んでいく…」
先生
「これだけ離れたここでこの有様だ…!
直撃のところは…もう…」
キリト
「…」
先生
「…隕石が落ちるなど、誰も予測なんてしていない。
私自身も目前の風景を信じられないでいるくらいなのだから…」
キリト
「…でも、こんなに大きな隕石の飛来なら!
ここまで到達する以前に、あらかじめ何かしら対策も出来ていたでしょう。
これは…何かがおかしい!」
先生
「…そうだね。
だが我々に伝達はされていなかった…。
そしていきなりの避難勧告…だ。」
キリト
「…予想不可な異常事態が…起きてるって事ですね…」
先生
「隕石の落下だけではない…何かが…
それに…見ろキリト…」
キリト
「大きな隕石の炎の中で、カケラみたいなものが蠢きながら、各地へ散らばっている…だと…⁉︎
イーやエマ、他の者達も気になります!
明らかに意図を持って何かを狙っている気がする!」
先生
「あぁ…とにかく皆の所へ急ごう…!」
【異常事態】
 
キリト
 (モブB)
「…くるな…こっちへくるな!」
先生
 (モブC)
「…うわぁぁぁぁぁ」
イーファン
 (モブD)
「やめろぉぉぉ」
エマ
 (モブA)
「きゃぁぁぁあ!」
キリト
「…な、なんなんだ…この地獄絵図は…」
先生
「やめろぉぉぉ!
私の教え子達から離れろ‼︎」
キリト
「…なんだ、この未知なる個体は…どこから…⁈
イーファン、エマーーー!
どこにいる、返事をしてくれ!」
先生
「キリト!
この奥の洞窟前に早く行け、嫌な予感がする‼︎」
キリト
「先生、大丈夫ですか⁈」
先生
「私のことはいい、早く行ってやってくれ!
私はここを抑えてみせる!」
キリト
「分かりました!
イーーー、エマーーー!
どこだ…何処にいる⁉︎」
【未知なる生命体と抗争中の生徒たち】
イーファン
「ーーーくっそう!
ドロドロしてて、全然打撃が効かない!」
エマ
「イーファン、よく考えて動くのよ!
やたら無闇に攻撃しても、こちらの体力だけ奪われてしまうわ!
それこそコイツらの思う壺よ!」
イーファン
「はっ!
エマさん、後ろにっ!」
エマ
「紅蓮乱射ぐれんらんしゃ
ーーーいっけぇぇぇえ!」
イーファン
「待って…エマさん…コイツら…ちぎれたところから、分裂を…してる‼︎」
エマ
「…なんで…?
あぁ正に…悪夢的最悪な状況ね…」
イーファン
「体温を持つ者に引き寄せられて…襲っているみたいだ…」
エマ
「ちょっと…待って…ねぇ…あ、あれは…なんなの…何を…しているの…」
イーファン
「えっ…」
エマ
「最初は無差別に襲っていただけなのに…あれは…アイツは…襲ったものを…」
イーファン
「喰らってる⁈
な、何⁈
段々形が…変化を見せている…
アメーバ的な個体に…手が…生えた…
嘘だ…喰らいながら、それに合わせて外見が変化していく…」
エマ
「何なのよ、コイツら!
喰らったモノをベースに、高速で進化を…しているっていうの⁈」
イーファン
「エマさん‼︎
僕たちは、こいつらに決定打を与えられていません!
更にこの未知の生命体は、高速でモノを喰らいながら…この世界に適合しようとしている様に…見えます…!
一旦体勢を立て直さないと!
ここにいる者全員がコイツ達に喰われてしまう!」
エマ
「…そうね。
まずはこの生命体から距離をとりましょう!
それから生き残ってる皆んなを三班に分けて、臨戦態勢を取る!」
イーファン
「了解です!
確信とは言えませんが…この生命体には。
「コア」の様に、脈打つ動きを見せる場所があります!」
エマ
「コア⁈
それは掛けに出るにはとても有益な情報だわ!
さすがね、イーファン!」
イーファン
「そこを撃破する事が出来たなら、コイツらの機能を止めることが出来るかもしれない…
それに掛ける価値は、ある気がします!」
エマ
「えぇ…そうね!
腹を括りましょう…いくわよ、イーファン!」
イーファン
「はい!
みんなに伝達だよ!
館の一から三棟に在籍の人は、エマさんについて避難を!」
エマ
「四から六棟までの生徒は、イーファンと共に退路確保しつつ応戦をお願い!
その際、イーファンの指示するコアの部分を協力しながら狙ってちょうだい!
下手に攻撃をすれば、未知の生命体が分裂して、数が増えるの!
それだけは…避けなければいけない!」
キリト
「ーーーエマ、ーーーイーファン!
みんな無事だな!」
エマ
「キリト!」
イーファン
「あぁ…キリト…無事で良かった!」
キリト
「…この隊列は…成る程な。
三部隊へ分かれる方が、更に効率が良くなるだろう。
なら俺が、七から九までのみんなを預かる!」
エマ
「待って…キリト…あなた…足が!」
キリト
「エマ、俺のことは気にするな!
今は最善の行動を行う事だけを考えろ!」
エマ
「キリト…そうね…わかったわ!
絶対この窮地をみんなで切り抜けるのよ!」
イーファン
「うおおおおおおおお!
三節棍・打撃乱撃ダジ・ルゥアンジーーーーー!」
エマ
「みんなはできるだけこの未知生命体と一定距離を保って!
襲ってきたら、一点・脈打つ場所を探し出し、各自、保有武器特性の能力を解放しながら、そこを狙って撃破する!」
キリト
「ーーよし、全員無事だな!
この班はエマの班を援護する!
退路を確保しているイーファンの隊に俺は合流する!
みんな、後は頼めるか⁉︎…わかった、ありがとう!
ーーーそれじゃ頼むぞ!」
エマ
「こい…生命体。
お前が脈打つ場所は…そこだぁぁぁあ!」
イーファン
「エマさんナイスです!
よし、更に追加打撃‼︎」
キリト
「エマ、トドメだ!」
エマ
「退滅弾いっけぇぇぇぇ‼︎」
イーファン
「ーーーやった!
初めて一体撃破出来た!」
エマ
「イーファン、キリト!
コアを叩けばいけるわ!」
イーファン
「さすがエマさん!」
キリト
「…はっ、だめだ!
エマ、トドメが足りてない!」
エマ
「…え⁉︎
きゃあああああああ!」
イーファン
「うわぁぁぁエマさん!
危ない、みんな下がって!」
キリト
「ーーーまずい!
エマ、今助けるーーーー」
先生
「エマを離せ!
お前なんかに…大切な生徒を喰わせてたまるかぁぁぁ!
私はもう…大切なものを失わない…
目前から目を背けたりしない!」
イーファン
「ブーチン先生!」
先生
「エマ、手をしっかりと掴むんだ!
よし、いいぞ…怖かったのに…よく頑張ったなエマ…今助け出してやる!
ーーーイーファン!
エマの体を受け止めてくれ、いくぞ!」
エマ
「せ、先生!
待って…待ってよ…それじゃ先生が飲み込まれてしまう‼︎」
先生
「ーーーぐぁぁぁぁ!」
イーファン
「やめろぉぉぉ‼︎
ーーーー先生を離せ!」
先生
「来るな、イーファン!
みんなよく聞いて欲しい!
この未知生命体は、普通の攻撃ではトドメをさせない…ぐはっ‼︎
でも君達に宿る魔の力を解放すれば…
その力でコアの内側から叩ければコイツを撃破できるはずだ‼︎
イーファン
「そんなこと…まだ、僕達には…」
先生
「イーファン、大丈夫だよ?
君達は魔団に選ばれた、素晴らしい逸材なんだ…だから絶対やれる!
魔の解放、それは体内でもう一段階、飛躍的な体温上昇で誘発される可能性が高い‼︎」
キリト
「はっ…コイツ、先生の体を、捕食しようと!
グラスフォルターム、来い!」
先生
「キリト、エマ、イーファン。
君達がやらなきゃ、ここのみんながコイツに喰われてしまう…!」
エマ
「ーーーいやああああ!
ブーチン先生!
先生が…どんどんと深部へと引き摺り込まれてしまう!」
先生
「ぐっはっ……キリト、頼む!
君なら私の言ってる事がわかるだろう⁉︎」
キリト
「だがこの状況で、開放した一撃を放てば先生まで…!」
先生
「私のことはいい、よく考えるんだキリト!
私の命一つより、この場にいるみんなの未来を守る義務が君達にはある!
それが魔団に選ばれた者達の、信念と覚悟だろう!ーーーぐあぁぁあ!」
キリト
「クソっ…フォルターム…行くぞ…」
イーファン
「ーーーえ?
嫌だよキリト…お願いだよ…やめて!
ブーチン先生が…先生が死んでしまう!」
先生
「イーファン、三節棍は君の代名詞になるだろう!
私は君が…魔団に入り、信念の担い手になってくれた事が…純粋に嬉しい…ありがとう…
それから…私の過去を…こんな形で払拭させて貰えることを…誰よりも…感謝…しているん…だ…あぁ…ぐぁぁぁあ」
エマ
「先生ーーー‼︎
いやああああ、先生を離せ、このクソ生命体!」
先生
「…エマ…君の信念の先…必ず光差す日が来る…私はそれを誰よりも信じている…
さぁ三人とも恐れるなーーー!
魔を解放するんだ、これが私の最後の教えーーー!
未知の生命体ガジュコアフォル…いや…
「ガジュル!」
お前達の好き勝手はさせない!
私の教え子達が、今より光を記し始めるのだからなあぁぁぁぁ!」
【この声に意を決して走り出す三人】
【無意識に息を合わせる三人の連撃】
イーファン
「あぁ…あぁ…うわああああーーーー!
魔武三節棍・心打シンダ・神一撃シェンイージー!」
キリト
「うおおおおお!
グラスフォルターム・スパイラル・エナジー・ライトニングーーーーーー!」
エマ
「許さない…許さないからぁぁぁガジュル…‼︎
魔弾まだん・芙蓉乱舞耐滅弾ふようらんぶたいめつだんーーーーーー!」
【ガジュルが内側から破壊され塵になって消滅】
キリト
「…せ、先生!」
先生
「…素晴らしい…力の解放…だった…よ」
イーファン
「ブーチン先生…ごめんなさい…」
先生
「泣かなくていいんだ…イーファン(手を伸ばす)」
イーファン
「先生…ブーチン先生!」
先生
「私は…ずっと…過去を…引き摺って…いた…
ライデンという素晴らしい同期の彼を、悲しませた事実…ごふっ」
キリト
「どうであろうと…俺達にとって先生は素晴らしい恩師です」
先生
「…そう言ってもらえて…嬉しいよ…ありがとう…」
エマ
「…せん…せい…私…は…」
先生
「エマ…変えたい未来が私にもあった…だけど後悔は…その者を強くする…自分を…貫きなさい…エマ…真っ直ぐ…」
エマ
「…うわああああ!」
先生
「…可愛い教え子達よ…どうか強くなりなさい…
そして…この先にライデンに会った時…ありがとうと言っていたと…伝えてくれ…みんなどうか…元気…で…ね…」
エマ
ブーチン先生は…今まで以上に優しく微笑みながら…そっと息を引き取った…
イーファン
僕にとって大切な存在が…手のひらから砂のように溢れ消えていった…
キリト
未知の生命体「ガジュル」は、一瞬にしてこの世界の生きる者の意味を奪い去っていった…
【一変した世界を見つめながら】
エマ
「この星が壊れていく・・・」
イーファン
「命がこんなにも容易く奪われていく…」
キリト
「何かが音を立てて崩れていく…」
エマ
「・・・おとう…さま…おかあさ…ま…う…そ…だと…言って…」
イーファン
「ひどい、、、跡形もなく…こんな…」
エマ
「嘘…、嘘!
ーーーこんな現実なんて嘘よ!」
キリト
「…エマ、先ずは生存者を探すぞ。」
イーファン
「ちょ、キリト‼︎」
キリト
「泣いてるだけじゃ、誰も救われない!
ーー立て、エマ!」
エマ
「ーーーわかってる!
わかってるわよ!」
イーファン
「誰か…無事な方はいませんか…返事をしてください…誰か…」
キリト
「…」
イーファン
「誰か…一人でも…誰か…」
キリト
「…ん、これは…」
イーファン
「ーー⁉︎
腕先だけが切断されたまま残されて…残りは跡形無く…
あぁ…こんな事…があっていい訳が…ない…」
エマ
「指先が繋がれた、手…⁉︎
この指輪は…お母様の…あぁ…じゃあ…繋がれた先の手は…お父様…なの…?
あぁ…お願い…嘘だと…言ってちょうだい…」
キリト
「何かを握りしめているみたいだが…なんだ、写真か?」
イーファン
「…何か後ろに書かれている。
「愛しい娘の五歳の誕生日、エマあなたは私達の宝物」
…これは…エマさん…の家族…写真…」
エマ
「あ、、、、、ああ、、あああ…
ーーーいやぁぁぁぁああ!」
キリト
「…エマ、こい!」
エマ
「ーーー嘘よ!
ーーーこんなの嘘、信じない!
私はまだ何も二人に伝え切れていないの…ありがとうさえ…言えてもないのに…!
キリト
「・・・ああ、そうだな…」
エマ
「二人は私の写真を…守ろうとして…取り返そうとして?…ねぇ…嫌よ…
私はずっと厳しく育てられてきた…
愛情って意味が、よくわからないまま…ここまで歯を食いしばって頑張って生きてきたの‼︎
写真なんて…そんなものの為に…⁈
ねぇお父様…あなたなら…逃れられたはずでしょ?
お母様…何故…なぜ…!」
イーファン
「エマさん…腕の下で…まるで護られる様に…これが挟まって…いました」
エマ
「手帳…?
この文字…お父…様の字…間違いないわ…」
先生
 (エマ父)
「エマ、お前が笑わなくなった日のことを…私は今も悔やんでいる。
お前は女の子として生まれてきた。
私は自分の未熟さから、お前にどう接していいのか分からず、お前が男だったらと口にしてしまったあの日の事を…今も尚…後悔がやまない。
ーーーだが、エマ。

そんな不甲斐ない私の横で、お前が周りを大切にしつつ、期待を裏切るまいと、生きるその姿を目にしながら…私はずっとお前に謝りたかった。
お前は私にとって誇りそのもので、素晴らしい娘に育ってくれた。
いつか…エマと向き合って話せた時、ちゃんとあの日の謝罪と…そして伝えようと思う。
自慢の娘、エマ!
私の元に生まれてきてくれてありがとう!
私達は…誰よりもお前を…心から愛していると…!」
エマ
「ーーーうわあああああああああああああああ!」
【生きるという意味】
エマ
「ねえ、もしも願いが叶うならあなたは何を願う…?」
イーファン
「…、君は何を願うんだい?」
エマ
「もう元には戻らない世界…なら、こんな世界なんて…、一日も早く滅びますようにかな。」
イーファン
「…」
落雷に似た衝撃が、心を撃ち抜いた。
…あの日の僕は、何も答える事が出来なかった…。
だから…僕は、その答えを導く為に今を生き続ける。
僕がここに立つ意味を…先生が遺した言葉を噛み締めながら…。
惨状が広がるこの星がもう一度…笑顔で溢れかえる世界を取り戻す為に…!
キリト
それぞれの思いを、それぞれが胸に抱いだきながら…
イーファン
「僕の…」
エマ
「私の…」
キリト
「オレの…」
イーファン
物語が…ここから始まる。

メンバーメッセージ

NKO-IDで本人認証されたメンバーだけが、登録ニックネームで書き込めます。

みんなのメッセージ

まだメッセージはありません。