Story of the Leiden Ⅰ~根底への光~

Story of the Leiden
4人用台本
ライデン
ライデン役の方はライデンの台詞をタップしてください。
サラ
サラ役の方はサラの台詞ををタップしてください。 アッカー役、AIイシュタル役を兼ねます。
スタンリー
スタンリー役の方はスタンリーの台詞をタップしてください。
ブーチン
ブーチン役の方はブーチンの台詞をタップしてください。 グランデ大佐役を兼ねます。
【プロローグ】
ライデン
生きとし生けるもの、…全てに別れは訪れるものである。 だがその気持ちを背負う者は、それだけの強さを強いられる事がある。 「…強くありたい!」と、誰しもそう願うものだろう。 だが『あなた』は・・・ 『弱いからこそ結び付いた想いを背負い、生きる者は強くなるのだ』と。 ーーー俺の心に、言葉の「種」を蒔いた。 その種はやがて巨樹に守られるように、導かれ育っていく。 いつか再び巡り合えるだろうか? 失ってしまったその先で、気付かされる事は・・・ 「弱い」からこそ・・・ 「強く」在れと・・・ いつか、貴方のように。 大切な者達に揺らがない背中を、魅せれる存在になれるだろうか・・・?
【本編 スタート】
ライデン
本日より魔団本部所属へ移動となりました。 「ライデン・スティングレー」 よろしくお願いします!
ブーチン(グランデ大佐)
おぉ君がライデンか…! 噂は兼ね兼ね聞いている! さあ、こちらへ!
ライデン
失礼致します。 これはまた…錚々たる顔ぶれで恐縮致しますが。 本日より、こちらへ移動となりました。 今に甘んじることなく、更なる高みを目指して行きたいと思っております! 何卒宜しくお願い致します。
サラ(アッカー)
あなたがライデン? 噂に違わず、立派な青年のようね! こちらがラルクド国王のスタンリー陛下です。 ライデン、陛下にご挨拶を。
スタンリー
堅苦しい挨拶は抜きにしよう。 率直に話を進めていきたいのだ。 ここラルクドは、民族や種族の入り混じる国だ! だが種族対立による人と魔族の亀裂が、ここ数十年目立つようになってきた。 しかしこの国は、数百年前の大戦争の惨劇後、制定に基づきラルクド国土という、永世中立国として独立。 魔族と人族が共存できる国として、歩んできたのは知っているかな?
ライデン
はい、それは存じ上げております。 隣国では今だ魔族と人族では、激しい対立が起こっていることは、周知しております。 そのうえでラルクド国土においては、魔族のみの街や共存する街等。 他国とでは違う暮らしが出来ていることも、感謝いたしております。
スタンリー
周知しているなら話も早い。 ここでは人族と魔族による機密機関が中枢にあり、独自の国政が行われておる。 だがそれを良く思わない者達が、いることも確かなのだ!
サラ(アッカー)
ラルクド国史歴が始まり二〇〇年、 節目を迎えようとする今、 不穏な影も動き始めています。
スタンリー
私はこのラルクドを愛している。 魔団の幹部の者達と話し合った結果、 補佐及び護衛を兼ねれるものを、 魔団から選出してもらうことになってな? それに於いて、君が推薦されたのだ!
ライデン
え? 俺は何も知らされてはいませんが…。
ブーチン(グランデ大佐)
実際、現在の魔団組織は、 まだまだ人手が足りている状況とは言えない。 そのぐらい魔団への入隊も厳しいところなのは、 君自身も分かっているだろう。 魔団への入隊は強さも必要なのだが、 それ以上に信念を強く持つものでないと、 統率を図るのは難しいのだ。 だがその中で、満場一致で君が選任された。 私も本日君を見て、適任だと思う。 私達の護衛も兼ねながら、 本部での中枢を担って行って欲しいのだが、 受けてはくれないだろうか?
ライデン
私は人との関りはあまり多い方ではありません。 それでも魔族と人との… 心の壁みたいなものを感じます。 この国で人族の長となる陛下の在り方を、 私自身が信念でお守りしたいと感じれなかった場合。 この任を解いていただく事は可能ですか?
サラ(アッカー)
なんという事を・・・⁈
ブーチン(グランデ大佐)
(被せながら) ライデン! それは失礼だろう!
スタンリー
わはははは! よいよい、グランデ、アッカー! このくらい真っすぐで物怖じしない者の方が、 私も安心できるというものだ! 君が私に不義を感じた時は遠慮なく、 彼らに言って任を解いてもらうといい! その方が私も国を統治する代表として、 励みにもなるというものだ! ライデン、それなら構わないか?
ライデン
はい。 私は私が信じる者を、 守り抜く意思を、曲げたくは・・・ありません。 ですが任を受ける以上は、 全力で受けさせていただきます。 スタンリー陛下、 宜しくお願い致します…!
ライデン(モノローグ)
国を守るという事がどういったものなのかなど… この時の自分が想像していた世界とは、 全く違う日々となった。 このラルクド国王は尽力的に動き、 暇さえあれば魔の者や人々が暮らす街に、 身分を隠したまま散策をする方だった。 生きる者たちにとって不可欠なものを、 精力的に取り入れようと率先していくその姿は、 まさに生粋の王だと感じた。
【護衛の日常で】
ライデン
私が進言致すのもどうかとは思いますが・・・ もう少しご自身のお時間も、 持たれた方がよいのでは?
スタンリー
おぉライデン! 私の時間だからこそ! 一番好き勝手をさせてもらっているのだよ! 前にも話したが、 私はこのラルクドという国が好きなのだ‼
ライデン
・・・それは、 何故なのかと。 問うてよろしいでしょうか?
スタンリー
お前は本当に堅苦しい奴だな(笑う) もっと気さくで構わん! 知りたいことは素直に問う権利を、 誰しもが持っているのだ! ・・・ところでライデン、 ここだけの話だが。 私は前女王陛下から、 この国を受け継ぐ形となったのだが・・・
ライデン
・・・承知いたしております。 ラルクド国では血筋ではなく、 国王・女王が人選を行い、 王位継承をする習わしだと。
スタンリー
ははは! その通り! だが内緒話はここからだ! メイル女王陛下は、 ・・・実はハーフだったのだよ?
ライデン
・・・は?
スタンリー
魔と人のハーフだったのだ!
ライデン
・・・私は、 ラルクドの国では人だけが、 国王というものになるのだと?
スタンリー
まぁこれだけでもラルクドという国が、 他の諸国とは違う礎を持っていることは、 分かってもらえると思うが。 人と魔の者の対立というのは、 実は根深いものが在るらしい・・・ 人には叡智というものがあるが、 それはあくまでも創造し、具現する力。 人は初めから特殊な力を、 魔族のように身体に備えている訳ではない。
ライデン
・・・魔の者と、人の違い。
スタンリー
人は弱い生き物だからこそ、 己を守る為に束に成りたがり、 人が束と成れば大きな力へと変化するのだ。 それは人としての防衛本能とも、 言えるかもしれんがな・・・?
ライデン
そうですね・・・。 逆に魔の者達が余り群れたがらないのは、 個々の力を持て余す事が多いから、かと。
スタンリー
うむ・・・。 生きるもの全てにそれぞれの生き方というものがある。 それは簡単に変えることは出来ないだろうな。 だが強い信念や思いは、 流れを変える力にも成りうる! 人と魔の者の中でハーフ、 「魔を受け継ぎし者」も誕生した。 もしそこに、 「魔と人」が完全に隔たりあれば、 そうはならなかった訳だからな?
ライデン
―――確かに、そうですね。
スタンリー
時は刻まれ今でこそ、 ハーフも珍しくはない! 最初に誕生したハーフの風当たりは、 相当のものだっただろう・・・。 ハーフ故、 人より長寿であった 『フォルスターム・メイル』様は。 その人生全てを 魔とハーフと人が、 交わりながら生きる国。 この「ラルクド」の基盤を築かれる事に ご尽力為された、 素晴らしい統治者だ! 私はメイル様の御傍で、 種族への差別に苦しみながらも、 敢然と掲げる意志に向かい 邁進される女王陛下の姿に、 強い感銘を受けた。 メイル様の思想は、 私の意志そのものとなった! その繋がりが基で、 メイル様は私に、 国王の座を譲り承ったのだ。
ライデン
・・・。
スタンリー
メイル様の意志を継ぎ、 女王陛下の思想が 国の土台となったこの国が! 「共存・共栄」の象徴と有れるように・・・! 私はこの命を捧げると誓ったのだ!
ライデン
―――国王陛下。 私がこの任をお受けした時、 伝えた言葉ですが。
スタンリー
うむ? 私に不義を感じた場合は、 任を解いてもらって構わないという約束か? ……ん!? まさかライデン・・・?
ライデン
ええ、スタンリー国王陛下。 ・・・あの時の言葉が無礼であった事、 心よりお詫び致します。 そして改めて陛下をお守りする為にも、 驕ることなく更に自剣を・腕を、 磨いていこうと思います。 ですのでどうかこれからも、 どうぞよろしくお願い致します。
スタンリー
なんだライデン!!! 驚かすなよ! 肝が冷えたぞ!!!はははは! ―――ありがとう! どうかこれからも私の背中を、 頼むぞライデン!
固く握手を交わす二人
ライデン(モノローグ)
「この日から、私は―――。 人というものに対しての、 自分では気付いていなかった隔たりが、 消えたような、気がした・・・。」
【魔族育成寄宿舎にて】
ブーチン
ライデンじゃないか! 元気にしているか?! 君が本部に上がって、 すっかり会う機会が減ってしまったね?
ライデン
正直もっと動きやすくなるかと 高を括っていたのだが。 就いた任務の御方が。 じっとしていてはくれない方でな?
ライデン
ブーチン! 久しぶりだな!
ブーチン
あはは!! 君がそう言うなら余程なんだろうな! でも君にはそのぐらいが、 丁度いいのかもしれない! 君自身は気付いてない様だが、 面倒を見るのが好きなはずだからね!
ライデン
そんなことはないぞ、ブーチン。 俺は基本、 自分の事で精一杯だからな・・・ 実際周りが見ている俺との差は、 相当に違いない。
ブーチン
ライデンは自分に厳しすぎるだけさ。 まあ立ち話もあれだ! 昼食でも食べながら、 近況を聞かせて?
ライデン
あぁそうしよう。 しかし、ここは変わらないなぁ・・・。 だが変わらない「場所」があるっていうのは悪くない! ブーチンはここでの仕事は、 だいぶ慣れたのか?
ブーチン
そうだな・・・。 軍事に向いてなかった私にとっては、 有難い居場所にはなっているよ?
ライデン
お前はあれだけ評価されていたのに、 何故魔団から……
ブーチン
それはもう過去の話だよ・・・? 私はここで自己の存在に苦しむ者や、 未来を信じ歩んでいこうとする者達の、 手伝いをしていくと決めたんだ。 ―――いつかこの世界から、 種族という垣根が、 無くなることを願いながらね。
ライデン
俺はお前という為人が好きだ。 俺自身が絶滅されたとされる、 記憶から消された種族の血が、 宿っていた。
ブーチン
・・・「SUCCESSOR ANCIENT FRAME」 サクセサー・アンシエント・フレーム。 語り継がれる幻の種族、 「古の焔」 その継承者・・・だよね?
ライデン
だが俺は親のことなど、 何も知らない・・・。 自分の存在が何かさえ分からないまま、 人族の子供として引き取られ、 育ててもらっていた・・・。 だから俺は自分が人族なんだと、 信じて疑わなかった。 背中にうっすらとあった痣が、 大きくなるにつれ。 不気味に色濃くなり始めてきたと、 感じたあの日に起きた出来事・・・。 俺の中に眠っていた魔の血が、 あの日を境に暴走を始め、 育ててくれていた人達を・・・。 ―――俺は、俺は・・・!!! ・・・この寄宿舎へ入った時、 俺は罪を償う為に生きると決めていた・・・
ブーチン
ライデン・・・ 君の中の「守りたい」という想いが、 全ての起点になって。 その結果、起きた出来事は・・・ 君の心痛めるものだったかも知れない・・・。 でもそれを全て背負って、 一人で背徳に生きる事が 正しい事じゃないと・・・ ライデン自身が失う痛みを知り、 弱さを知っているからこそ! その痛みの上に立つときに意志は、 芯となって強くなるんだ! だからあの時私は君が歯痒くて、 腹立たしくて仕方なかったんだ・・・‼
ライデン
ブーチン・・・
ブーチン
君は出会ったころ、 誰も寄せ付けようとせず、 誰にも興味を示そうとしなかった。 いつも一人で、遠くを見つめて・・・。 なのに、 頼るものを拒むことが出来ず、 冷淡にもなれない君が。 誰にも見られない場所で、 自分の弱さなど消し払うかのように、 鍛錬をひたすら繰り返す君を、 私は知っていた。 そして私はそんな君が、 大嫌いだったんだよ?ライデン。
ライデン
・・・俺もお前が嫌いだったさ(笑)
ブーチン
そうだね(笑) 誰とも関わろうとしないくせに、 いろんな人達から愛される君が・・・。 私は羨ましく、 妬ましかったんだ!
ライデン
よく言うさ! お前は俺より圧倒的に器用で、 常に誰かの中心にいたじゃないか! にぎやかな場所に目をやれば、 必ずそこにはお前がいた。 ―――だからこそ、 関わらないようにしていたのに。 お前はいつも俺に ちょっかいを出してきて・・・
ブーチン
なんだか懐かしいね・・・。 あの頃は、ただただ悔しかった・・・。 敵わないものが目の前にあることが、 自分より能力のあるものが、 わざとそれを隠したままで・・・。 ―――なんだろうな? 酷く馬鹿にされている、 そんな気になっていたんだよ・・・? 私はそれまで、 自分より凄いと思ったものに、 出会った事がなかったんだろう・・・。 だからこそ君が気になって 仕方なかった、 あの頃の私はね・・・!
【ライデンとブーチンの寄宿学校での回想シーン】
【ライデンとブーチンの寄宿学校での回想シーン】
ブーチン
『大事なものを作らなければ、 傷つかないで生きていけると思ってんの?』
ライデン
『・・・そんなことは思っていない』
ブーチン
『君は嘘つきだね、ライデン。 自分の力を本当の意味で知ろうとしない。 使う術を持とうとしない! 必死で自分達の生きる術を、 見出そうとしている僕達に対して。 君は自分を偽り隠したまま、 生きる事に怯えて過ごすのか? ―――何の為に君はここに立ってるんだ⁉』
ライデン
『・・・ブーチン、 お前に何が分かる⁈』
ブーチン
『怒りも表に出せるんじゃん・・・? もっと感情表に出しなよ、ライデン! 本気で立ち向かう事だって・・・ 出来るんだろ?(煽るように)』
ライデン
『知った風な口をきくな・・・! 俺は…これでいいんだ! どんな生き方をしようが… それは俺の自由だ!』
ブーチン
『僕は、お前が大嫌いだよ!ライデン!! 生に興味がないフリをしながら、 本当は誰よりも燻り、ウダウダしてるお前が! そしてそんなくそったれた生き方してる、 お前に勝てない、俺自身がね! ムカつくんだ…よ‼(殴りかかる)』
ライデン
『(手のひらで受け止める) ・・・そうか、 それはお互い様だな! (ブーチンの鳩尾に一発) ほら、来いよ・・・』
ブーチン
『ぐはっ・・・! …やっぱさ、 そうじゃないとね・・・!!』
しばらく、本気の拳のぶつけ合い (ここのセリフはあってもなくても大丈夫です)
ブーチン
『仏頂面して、 感情押し殺してんなよ!』
ライデン
『お前にとやかく言われる筋合いもない!!』
ブーチン
『いいね・・・! 僕に対してその剥き出しの感情・・・』
ライデン
『・・・お前変わってるな・・・ぐはっ』
ブーチン
『ほらほら、 気を抜いたら、 K・Oしちゃうよ?』
ライデン
『・・・なるほど、 なぁぁあ!』
ブーチン
『ごふっ・・・、 一発が・・・重いな、 やっぱり・・・』
ライデン
『・・・』
ブーチン
『・・・』
ブーチン
『手・・・加減しなさすぎ、 馬鹿野郎・・・ (仰向けで倒れたまま)』
ライデン
『・・・お互い・・・ 不器用なんだろう、さ・・・』
ブーチン
『僕は、不器用じゃない・・・、 どちらかと言えば・・・ 器用が玉に瑕、なんだよ・・・』
ライデン
『そう、かもな… ―――ありがとなブーチン。 立てるか?』
ブーチン
『あぁ大丈夫、ありがとう! ライデン、 僕はもう君に! 遠慮するもの言いはしない! そして、君を大嫌いだった僕は、 君が大好きに変わったと明言するさ!』
ライデン
『・・・そうか。 俺はすぐには変われない、 かもしれないが。』
ブーチン
『変わる必要なんてない、 そのままの君でいいんだよ。 あとは、 自分の意志を表に出せれば・・・ ちゃんと自分の思いを、 誰かに伝えることが出来ればね』
ライデン
『お前は・・・ 戦う事より指導者に 向いてるのかも知れないな?』
ブーチン
『なんだよ、それ! 僕は強いんだからな?』
ライデン
『あぁ、 お前はまちがいなく強いよ、 心がな!』
ブーチン
『くくっ! あははは』
ライデン
『はははは!』
(お互い笑いあいながら回想シーンがフェードアウト)
【場面転換「宮殿」】
スタンリー
おぉライデン! 戻ったか!!
ライデン
はい、 休息日をいただいて、 旧友と思い出話に花が咲きました!
スタンリー
そうかそうか! 友は大事なもの。 自分だけでは見失うもの、 それを気付かせてくれる存在が友だ! ライデンが友と呼ぶその者も、 さぞ素晴らしい優れた人物な事だろう! 今度、ここへ連れてくるといい!
ライデン
・・・⁈ そうですね。 今度また会えた時、 誘ってみる事に致します!
スタンリー
あぁ! いろんな話を聞いてみたいものだ! ところでライデン! 魔の者達の優れた身体能力も、 素晴らしいものなのだがな? 人の叡智というものも、 これまた素晴らしいものだと知っているか?
ライデン
魔の者達は変化を拒む者も多い為、 個々の能力へ偏る傾向があり、 種族単位では差が激しいかも知れません。 しかし人族は、 共有・変化に長けていると思っています。
スタンリー
確かに人は変化することに、 長けている種族だ! だからこそ古の叡智を、 さらに進化させていけると思っている!
ライデン
・・・変化する事で進化を遂げ、 変わることを恐れない種族・・・
スタンリー
ライデン! お前もせっかくだから行ってみないか? 人類が叡智を積み重ねた産物が、 もうすぐ完成すると知らせが入ったのだ!
ライデン
私が同行しても良いのですか⁈
スタンリー
あぁ! 早速行こう!
【とある機密研究施設】
サラ
あら、スタンリー! いらっしゃい、 よく来てくれたわ!
スタンリー
あぁサラ、 久しいな! 元気にしていたか?
サラ
そうですね、 元気にしていたといえば、 ウソになるかも知れませんけど(笑) 心はいつも前向きに 過ごしていますよ?
スタンリー
サラの心が元気なら 私も嬉しいからな! はっはっは!!
サラ
スタンリーは相変わらず元気そうで 何よりね(微笑みながら) ところで、 その隣にいらっしゃる方はどなた?
スタンリー
彼は俺の護衛役の ライデンだ!
ライデン
ライデン・スティングレーと申します。
サラ
どうも初めまして! 私はサラ・ブライトと申します。 こんな姿でごめんなさいね・・・?
ライデン
いえ、お気になさらずで。 ところで、 つかぬことをお聞きいたしますが・・・ サラさんが乗っておられる その乗り物は、 一体何という物なのでしょうか?
サラ
これは、 電動・車いす、 というものよ? 私は生まれつき身体が弱くて、 最近は自力で歩きまわれなくなってきたの。 でも自由に動きたいじゃない? だから先ずは自分用に動ける乗り物を設計して、 実用性を試してみてるの!
ライデン
なんと、 すべて自分で設計を!?
スタンリー
ははは! すごいだろうライデン? 相変わらず素晴らしい頭脳と 行動力だよ、 サラ博士は! そして、 あちらの方も順調かい?
サラ
ええ、 あの子には私の全てを注いでるの。 いろんな情報を知能へと変化させ、 取り込みながら成長をしてくれている。 私の夢はいつか 「イシュタル」が思考型AI、 そして「感情」への軌跡を、 辿ってくれることを願っているの!
スタンリー
あぁ、 きっと叶うさ! 叡智は想いが形になり、 引き継がれていくんだからな!
ライデン
・・・
スタンリー
どうしたんだライデン? 拍子抜けしたような 顔をして。
ライデン
あ、…いえ…。 御二方の話に、 ついていけてなくて…
サラ
知らない人からすれば、 AIって何って話よね(笑) 説明より実際に 見てもらう方が早いでしょうから、 さぁこちらへどうぞ?
(場所を移動しながら)
ライデン
物凄い厳重な扉・・・ 何かに反応して 扉が開く仕組みか?
サラ
私の角膜認証でしか 開かないようになっているの。 「イシュタル」のところまで、 合計で五つの扉があるのよ? そしてもし万が一にでも、 「イシュタル」が異常を期してしまった時、 その活動停止・破壊を行えるように、 この五つの扉が、 その為の鍵にもなっているの。
ライデン
・・・そんなに大変なモノなのですか?
サラ
そうね・・・。 ところで貴方、 魔族の方よね・・・?
ライデン
・・・そうです。
サラ
貴方、 ハーフじゃなく純血種…ね。
ライデン
え?
スタンリー
なんと! そうなのか? どうしてそうだとわかるんだ?!
サラ
人族、魔族、ハーフ族、 今は大きく三つに分かれているけど。 人と魔は、 元々同じ遺伝子を、 持っていたのではないかと考えている。 星単位で考えればもっと深く、 生存する変化が袂を分け、 種族でまったく違う形態を、 遂げていったのではないのかと…。 そして人族でさえ一括りにはならない、 思考や文化、歴史を背負っているわ? ラルクドというこの国は、 他の国とは違う中立国の歴史を守っている。 争いを好まず、 どんな種族でさえ、 生きる権利は同じであると、 意志を掲げた歴代の王たちが繋いだ国。
ライデン
それがラルクド国の歴史・・・
スタンリー
だからこそ「種族」ではなく、 生きる民の代表として、 意思を貫く。 この国の歴史そのものを、 未来へ継承するために!
サラ
スタンリーは、 ここで生きる者総てが、 国民だと受け止めている。 私はそんな彼が治めるこの国に惚れ込んで、 全てを捨て、ここに来た。 身体も弱い為、 誰にも必要とされなかった私が、 生きる場所、目的を与えてもらった。 それが、 この「ラルクド永世中立国」なの。
ライデン
・・・人でさえ、 歴史の中で苦しみがあるのか。
スタンリー
数百年の歴史では拭い去れない種族の壁・・・。 だが人はそれすら、 受け入れる力を持っていると信じている。 しかしそれは、 魔族だって同じこと。 ハーフ族が広がる事で見えた、 種族たちの未来。 人も魔も同じように手を取り合い、 「種族」を超え、 生きる世界を分かち合う。 生きる事を選んだ者達の、 意志が未来を紡ぎだす! 我らを隔てる 「人種の差別」という壁など、 ぶち壊してやるとな!  だから私は、 国王として邁進せねばならない。 お前にも認めて貰わねばならないからな?
サラ
スタンリーはライデンさんが、 お気に入りなのね?
スタンリー
あぁ、 とても気に入っているぞ!! ははは!!!
ライデン
・・・
サラ
さあ、着いたわ。 ここが 「イシュタル・サラ」の部屋です。
ライデン
なっ!! こ、これは…
スタンリー
驚くだろう? この部屋自体に 大木の幹が張り巡っている。 その幹の中心に、 「イシュタル・サラ」がいるんだ!
ライデン
・・・まるで 森の奥底にいるみたいだ!
サラ
この巨樹は、 世界の命の始まりと言われる、 「世界樹・ユグドラシル」を モチーフにした トリネコの樹です。
ライデン
もしかして、 ラルクドというこの国の名前は・・・?
スタンリー
ライデン、 察しがいいな! その通り、 世界樹の呼び名の語源から来ている。
ライデン
しかし何故… こんな場所に、 これほどの巨樹が…
サラ
「イシュタル・サラ」の母体を、 トリネコと一体化させ、 ここまで培養し、 共に育てました。 いつかこの子が、 感情を理解し、 労わることが出来る 人工知能となる様に、 願いを込めて。
ライデン
・・・いったい人族はどこまで、 進んでいるというのか…
スタンリー
驚くのも無理はない。 世界が何故、 誕生したかなど、 いくら考えようと答えは出ない。 この世に生み出され、 絶え逝くもの、 生き残り、 栄える者。 明白な答えが出せない物が、 目前に広がっているんだ。 だが稀に、 歴史にそぐわぬ「叡智」を持つ者が、 この世に遣わされる事があるらしい。
スタンリー
それが「時の先駆者」だ。 その存在そのものが、 ここにいる 「サラ・ブライト」だと、 私は思っている。
サラ
スタンリー。 私が生きている間に、 遺せるものがあるならば。 それはあなた達が願う、 次の世界へ繋ぐための軌跡の欠片。 古の叡智が、 受け継がれ、 形を変えていく。 膨大な情報を照らし合わせながら、 解明しなければ、 想像の域から出る事はない。 だからこそ私は、 一歩を踏み出し、 刻みたいだけ・・・
スタンリー
サラの存在を他に知られれば、 他国は間違いなく サラを殺しに来るだろう…。 サラの分身とも言える 「イシュタル・サラ」の存在が漏れれば、 奪い合い・戦争になるやも知れない。 人は自分より優れたものに、 恐怖を抱く種族でもある。 その反面、 欲深き一面も持つ。 サラはこの時代に遣わされた、 発展の叡智。 生まれながらに秀でた頭脳を持った代償なのか、 身体の自由が与えられなかった。 そんな彼女が願う未来を、 このラルクドの国王として。 心養い、 慈しむ想いを育て、 愛すべき国民が、 平和の礎となる様、 確固としていかねばならない。
ライデン
・・・。
サラ
・・・ライデン。 あなたはあなたの生き方がある。 ですが生きる者は、 誰しも迷い藻掻くのです。 生きた先にしか、 結果は見る事はない。 だからこそ、 今を大切に生きて欲しいと思います。
ライデン
・・・今を大切に生きる。
サラ
えぇ。 あなたが背負う何かが、 私にはわかりません。 ですが、 貴方の中に宿る力を感じます。 種族ではなく、 同じ星で生きる者として。 貴方も、 私も、 国王であるスタンリーも・・・。 命を背負いながら生きている。 それが「意思」だと思うのです。 どうかスタンリーを…、 よろしくお願いしますね? ライデンさん。
ライデン
・・・俺なんかに、 そんな力はありません。
スタンリー
それは違うぞ、ライデン! お前はお前以外の何物でもなく、 その真っすぐな目に惚れた! 私は先見の目を、 持っていると自負している! だからこそ、 自分の思いにも素直でいたいと思ってる! お前は、 もっと強くなるさ!
ライデン
スタンリー陛下っ…
スタンリー
さぁ先ずは! サラの分身にも挨拶しておこう!! 「イシュタル」 今日も元気にしているか?
AIイシュタル
「スタンリー国王陛下、 ご機嫌麗しく。 私は今日も 健やかに成長をしています」
ライデン
・・・樹が話している!?
スタンリー
おお! ますます流暢に 言葉が話せているじゃないか! 流石サラの子供だ! 素晴らしい!
AIイシュタル
「隣の方は 初めましてでしょうか? 私は イシュタルと申します」
ライデン
え? 姿なども認識をするの、か?!
サラ
そうです。 この子は生きる者から エネルギーを感知して、 そのデータを累積・分析し、 言語を覚えていきます。 そうしていくことで、 その者の性格や行動なども、 理解をしていく予定です。
ライデン
まだこれからという事、 ですか?
サラ
「イシュタル」は、 すでにかなりのデータを取り込んでいます。 そして私が今願う事は・・・ イシュタルが私の代わりに、 世界の未来を支え、 人と共に駆け回ること。 自分では見る事が叶わない未来を、 この子に託す。 その為にはまず、 「マザーコンピューター」から、 携帯することが出来る機械に、 この「イシュタル」と連結させた 小型通信機を完成させること! それがもうじき、 完成する予定です。
スタンリー
本当にものすごいスピードで、 形にしていくんだ、 この博士はな! 膨大な数式を頭の中で繋ぎ合わせ、 その先の物を作り出してしまうんだ。 彼女が叡智でなければ、 自分の存在がなんなのか、 わからなくなると思わないか?! ライデン!
ライデン
そう、ですね・・・
サラ
ふふ。 私はそろそろ投薬の時間だわ? スタンリー、 ライデン。 また遊びに来て? 今日はとても嬉しかった、 ありがとう!
ライデン
不遇であることを、 不遇と嘆くのではなく。 自分に与えられたものを 繋げる為に、 意志を掲げて 居場所を手に入れる。
ブーチン
そこに出会いはあり、 分つ種族の壁を打ち壊し。 同じ生命を分かつものとして、 その間に信頼が生まれるものであるならば。
ライデン
この世界はきっと
ブーチン
たとえ離れようと
(同時に)
ライデン
優しい世界に 変わりはない!
ブーチン
優しい世界に 終わりはない!
【イシュタルの樹の下で】
サラ
ライデンいらっしゃい。 お茶でも淹れましょう!
(機械仕掛けで周りの物が動き、紅茶が注がれる)
ライデン
サラ、 ここは、なんだか・・・ 同じ文明の時代だとは 思えないな。
サラ
機械が全ての基盤の世界に 見えるでしょ?
ライデン
文明が融合された場所、 と言えばいいのか?
サラ
私は自分では もう歩くこともできない。 それでも 生きている実感は欲しいものなの。 だけど自分の身の回りの事で、 誰かの手を煩わせたくない。 ならば私が想像するものを作り、 その力を借りて生きる。 私の世界は、 こうして広がった。 でも生み出したこの子達が、 表に出れば・・・ 種族の対立を加速させるための、 道具にされてしまうかも知れない。 優しいものじゃなく、 恐ろしい兵器へと、 変貌する可能性だってある。 だから、ここで・・・ いつか来る本当の平和な日々に、 役立つための足掛かりとして。 この子達を未来への輝石となる様、 隠し残して置きたい・・・
ライデン
サラ・・・、 君は、強いな。
サラ
いいえ、 私は弱いわ? 一人じゃ何もできないもの。 誰かのぬくもりを、 欲しくなることもある。 だけどその弱さがあるから、 今の私がいるんだと思う。 貴方だって本当は 誰かに求められたいでしょう? でも貴方はそれを、 懼れているのではないかしら?
ライデン
俺を見透かさないでくれないか・・・ サラ。
サラ
貴方らしく生きていいのよ? たとえその血が滅んだとされる、 古の魔族の末裔だとしても。
ライデン
!? なぜ、 人族の君がそれを・・・ 知っている?!
サラ
私は、 この星の歴史にも興味があって。 ・・・いつか話したと思うけど、 種族を遡れば、 同じ所に辿り着くのではないかと思っています。 この星の史歴を全て解読することは、 到底無理な話だけど… 少しでも紐解ければなんて、 想い馳せながら。 私が調べている文献・史歴書の中に 「シャルマーン」と呼ばれる者が 記されていてね? 『Successor Ancient Frame』 サクセサー・アンシエント・フレーム この世界に火を熾したとされながら、 歴史から突如と消えた種族。 独自の文字を持つとされ、 継承者は身体に痣が浮かび上がると 書かれているの。 貴方のその腕から見える痣は、 遺された文献の文字と 不思議な程、合致する。
ライデン
人族はそこまで 解き明かしているのか…
サラ
知りたいと思う気持ちが、 道を繋いでいく。 あなたがもし、 自分を知りたいと思うなら、 私は力になるわ? だから気軽に ここへ来てくれればいい。 話したくないことは、 話さなくても良い。 でも貴方さえ良かったら、 その目から映る世界は、 どんな風にみえるのか、 聞いてみたいわ?
ライデン
あぁ、そうだな。 俺も君の世界を もっと知れたらいいと思う…
【場面転換】
スタンリー
ライデン、 最近はとても表情が柔らかくなったな?
ライデン
そうですか? 自分では分かりませんが…
スタンリー
自分ではわからんものだろうな、 ははは! 物腰も穏やかで、 漢として磨きがかかったのではないか?
ライデン
…陛下。
スタンリー
どうした、 ライデン・・・ 恋でもしてるのか?
ライデン
恋、ですか?
スタンリー
誰かを愛する気持ちは、 人を強くするからな! 今を大切に生きろよ? ライデン!
ライデン
スタンリー陛下・・・ まだ俺自身が解りません。 ですが、 自分の気持ちを大切にしたい、 そう思います。
スタンリー
あぁ、 そう感じれることは 素晴らしい事だ!
ブーチン
誰かを想い、 幸せを心から願う事。 その為に己の命を全うする。 彼は生きる意味を導き出したいと、 心から切に願った。
<続く>
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